お二人揃って犬好きという高橋さんご夫妻。先住犬のモエちゃんと暮らしはじめたのは10年以上前のことです。ご主人は保護犬を飼ってきた家庭で育ち、犬を迎え入れるのであれば、当然のように保護犬を引き取りたいと思っていました。しかし当時は夫婦共働きのため保護犬の譲渡条件に合わず断念していたのです。しかし、ふと訪れたペットショップで1頭のダックスフントと目が合い「やっぱり犬と暮らしたい！」と家族に迎え入れ、「モエ」と名付けたのでした。
それから10年後の雪の日のこと。奥様の実家で飼っていた猫が亡くなります。やはり保護猫でした。あとに残された猫用の品々を役立ててもらいたいと、保護団体にそれらを寄贈した奥様は、偶然その団体のホームページに張られていたリンクからあるブログにたどり着きます。そこには実家の猫が亡くなったのと同じ日に保護された1頭の保護犬のことが紹介されていました。

動物保護団体・NPO法人Wonderful Dogsに保護され、「くじら」という名前を付けられたその犬は、メスのダックスフントで当時推定8歳。小さな体にも関わらず繁殖犬として妊娠・出産を繰り返し、心身ともにボロボロの状態でした。そのブログでは、預かりボランティアさんのケアによりくじらちゃんが少しずつ元気になっていく様子が詳しく紹介されていました。
「あの同じ雪の日に……」と運命を感じた奥様は、ブログを読むことが日課になっていきました。そしてすでに仕事を辞めていたので、「時間が出来た今なら譲っていただけるのでは」と考えるようになったのです。

2頭目を迎え入れることについてひとつ心配事がありました。先住犬のモエちゃんは他の犬が苦手なため、ストレスになってしまうのでは？とご主人が心配していたのです。そこで、奥様は多頭飼育の先輩にアドバイスを貰い、モエちゃんとの関係を一から作り直すことにしました。在りのままのモエちゃんを受け入れることで、うまく興奮をコントロール出来るようになるまで約1年。満を持してくじらちゃんの譲渡希望を出します。懸念していたモエちゃんとの関係も、案ずるより産むが易しで、くじらちゃんが自宅に来てもモエちゃんはいつもと変わりなく、のびのびとしていたそうです。
一方のくじらちゃんは、高橋家に来た当初は大人しく控え目。でも初日から食欲は旺盛でした。今では抱っこされるのが大好きで甘えん坊な性格もストレートに表現できるようになったそうです。モエちゃんとも適度な距離感を保っている様子を見て、上手くやっていけるとご夫婦共に確信し、幸せな「4人」家族になることができました。