マダニに咬みつかれても痛みがなく犬は血を吸われていることに気がつきません。マダニは多くの病原体を媒介します。そのため吸血による貧血や皮膚炎だけでなく、命さえおびやかす病気にかかる危険性があります。
やぶや草むらなどに生息するマダニは、愛犬の散歩のときに寄生する機会を狙っています。緑が多い場所に近づくときには、マダニに注意してください。
マダニは一度吸血を始めると皮膚から取り除くことは困難です。また、マダニは人にも危険な病原体を媒介することがあるため、犬についているマダニを見つけても無理に素手で取ろうとせず、動物病院に相談してください。
※国立感染症研究所HPより(2020年12月30日現在)
犬の右心室に寄生したフィラリアの成虫
画像提供:Dr. Thierry Bord
犬の右心室に寄生したフィラリアの成虫
画像提供:Dr. Thierry Bord
ノミは人も刺し、その部位に皮膚炎をおこすこともあります。また、ノミは猫ひっかき病の原因菌(バルトネラ・ヘンセレ)を媒介するため、感染猫が人を引っかいたり咬んだりした場合にその部位が化膿したり、リンパ節が腫れたり、発熱、頭痛をおこしたりすることがあります。動物に寄生したノミの成虫は、その動物の体表からほとんど離れることなく吸血と産卵(一日当たり20~50個)を繰り返し、最長120日程度生存することが可能です。この間、あなたの愛犬はノミの寄生に悩み続けることになります。
ノミアレルギー性皮膚炎
画像:Canine Dermatology Book, courtesy of Eric
Guaguereand Pascal Prelaud.
人の服や靴などにノミの卵が付着して室内に持ち込まれ、知らない間に家の中で繁殖してしまうことがあります。いったんノミが家の中で繁殖すると清浄化するには大変な労力を要します。目に見えるのは成虫になったノミだけであり、ノミ全体のわずか5%にしか過ぎません。残りの95%は卵、幼虫、さなぎの状態で環境中に潜んでいます。
犬の年齢や健康状態、寄生虫の種類や寄生数によっても異なりますが、一般的な症状としては食欲不振、嘔吐、下痢、血便、呼吸器症状などがみられます。また、外見的には毛ヅヤが悪くなったり、子犬では発育不良になることもあります。消化管内寄生虫は種類によって形状や感染経路も異なり、ノミなどと違い目に見えないため発見が困難です。糞便中に虫卵や幼虫が排泄されるため再感染にも注意が必要です。また、人に寄生して深刻な病気を引き起こすこともあるため、定期的な駆除が重要です。