マダニに咬みつかれても痛みがなく犬は血を吸われていることに気がつきません。マダニは多くの病原体を媒介します。そのため吸血による貧血や皮膚炎だけでなく、命さえおびやかす病気にかかる危険性があります。
やぶや草むらなどに生息するマダニは、愛犬の散歩のときに寄生する機会を狙っています。緑が多い場所に近づくときには、マダニに注意してください。
マダニは一度吸血を始めると皮膚から取り除くことは困難です。また、マダニは人にも危険な病原体を媒介することがあるため、犬についているマダニを見つけても無理に素手で取ろうとせず、動物病院に相談してください。
国際感染症研究所HPより
飼育ネコおよび飼育イヌの血液・糞便からSFTSウイルスが
検出された事例があります。
宮崎日日新聞社提供
フィラリアの幼虫を吸血した蚊に刺されることによって犬の体内に侵入します。成長した成虫は肺や心臓の血管に寄生し発症します。放置すると死に至ることもあります。
心臓に寄生した成虫を取り出す外科手術が実施されることもあります。ただし、フィラリアの虫体が消失しても肺の症状は残り、薬を続けなければなりません。お薬で予防することができます。
左)フィラリア症による腹水と右心のうっ血性心不全
下)犬の右心室に寄生したフィラリアの成虫
左)フィラリア症による腹水と右心のうっ血性心不全
下)犬の右心室に寄生したフィラリアの成虫
犬フィラリア症予防薬(経口剤)を毎月1回、1ヶ月間隔で投薬することにより簡単に、そして確実に予防できます。
予防期間は地域ごとに異なります。必ず獣医師の先生の指示どおりに投薬することが大切です。
ノミは人も刺し、その部位に皮膚炎をおこすこともあります。また、ノミは猫ひっかき病の原因菌(バルトネラ・ヘンセレ)を媒介するため、感染猫が人を引っかいたり咬んだりした場合にその部位が化膿したり、リンパ節が腫れたり、発熱、頭痛をおこしたりすることがあります。動物に寄生したノミの成虫は、その動物の体表からほとんど離れることなく吸血と産卵(一日当たり20~50個)を繰り返し、最長120日程度生存することが可能です。この間、あなたの愛犬はノミの寄生に悩み続けることになります。
ノミアレルギー性皮膚炎
引用:Canine Dermatology Book, courtesy of Eric
Guaguereand Pascal Prelaud.
人の服や靴などにノミの卵が付着して室内に持ち込まれ、知らない間に家の中で繁殖してしまうことがあります。いったんノミが家の中で繁殖すると清浄化するには大変な労力を要します。目に見えるのは成虫になったノミだけであり、ノミ全体のわずか5%にしか過ぎません。残りの95%は卵、幼虫、さなぎの状態で環境中に潜んでいます。
犬の年齢や健康状態、寄生虫の種類や寄生数によっても異なりますが、一般的な症状としては食欲不振、嘔吐、下痢、血便、呼吸器症状などがみられます。また、外見的には毛ヅヤが悪くなったり、子犬では発育不良になることもあります。消化管内寄生虫は種類によって形状や感染経路も異なり、ノミなどと違い目に見えないため発見が困難です。糞便中に虫卵が排泄されるため再感染にも注意が必要です。また、人に寄生して深刻な病気を引き起こすこともあるため、定期的な駆除が重要です。