セーブペットプロジェクト、愛情の証キャンペーンに関する 活動報告や情報発信をしていきます

ブログ~幸せなペットを増やすために~

2018.05.02  10:37

第3回シェルター・メディシン・セミナー「より良い譲渡に向けて」 

2部 シェルター・メディシン —頭数管理の科学的知見—

[カリフォルニア大学ディビス校獣医学部疫学研究員 田中亜紀先生]

 

シェルター・メディシンは科学です。感情移入しやすいシェルターという場所であっても、いろいろなデータや客観的な判断で物事を考えていく必要があります。

 


 

■野(良)猫、地域猫は人為的に増える

 

外猫は地域に自然発生するわけではなく、人為的に持ち込まれたり、迷って入ってきたりして増えていきます。野猫と飼い猫を区別するのは困難なので、「社会化の有無に関わらず、行動制限をされることなく自由に動き回る猫」を野猫と定義づけて頭数管理をしていきます。

 

■外猫(野猫と外に出る飼い猫)の問題

 

猫が街を悠々と闊歩している姿は微笑ましいように思いますが、さまざまな問題が発生します。猫にとっても健康や安全という面では決して良い状況ではありません。

 

1)公衆衛生

 

ズーノーシスの危険が高まります。ただし野猫と外に出る飼い猫のトキソプラズマの感染率は同じなので、室内飼育を推奨することも大切でしょう。

 

2)他の動物種への疾患伝播

 

カリフォルニアの例ですが、外猫によってカリフォルニアアザラシのトキソプラズマの感染率が上がったというデータがあります。無責任な飼い方も疾患伝播の原因になります。

 

3)飼い猫への疾患伝播

 

飼い主がいる猫であっても、外に出る以上、疾患伝播のリスクは野猫と変わりません。

 

4)近所の苦情

 

サンティエゴが猫の糞尿の被害を調査したところ、市内には外猫が約9000頭いて、野外で77.6トンの糞を排泄していました。野猫が占める割合は22%で、実は飼い猫が多いのです。正しい飼い方を啓発していくことも必要でしょう。

 

5)野生動物の捕食、生態系の崩壊、在来種の絶滅

 

猫がいなければネズミが増えるとも言われますが、野猫はネズミをほとんど捕食しません。ただし、ネズミが猫を嫌がって居つかないことはあるようです。

 

6)健康、生活の質

 

野猫のボディ・コンディション・スコアは栄養不良ぎみの4くらいですが、不妊手術を行うと改善します。ホルモンの分泌がなくなり、縄張り行動や放浪をしなくなり、人に慣れやすくなるとも言われます。

 


 

■外猫の頭数管理の解決案

 

外猫の問題の解決のためには地域の協力が必須です。捕獲、不妊手術後のモニター、戻した後の管理、譲渡といった作業にはボランティアの助けも欠かせません。

 

1)何もしない/様子を見る

 

一つの方法ですが、解決は難しいでしょう。猫は1年に1〜6頭の子猫を1.6回出産します。メスは生後4〜5ヵ月で出産可能なので、不妊手術を早めに行うことが大切です。

 

2)その場で処分

 

マリオン島では猫が増えたため、希少種の鳥が減ってしまったことがありました。猫を減らすために猫汎白血球減少症を蔓延させたり罠をしかけたりして、15年かけて2500頭を5、6頭まで減らすことができました。この方法は頭数制限の効果が出るまで8年以上かかると言われます。

 

3)安楽死をする

 

捕獲してから別の場所に移動して安楽死をします。過酷な生活や罠で苦しむ前に楽にするわけですが、健康な動物の命を絶つことに対して賛否両論があります。また、集中的に行わなければ効果がないと言われています。

 

4)TNR(捕まえて、不妊手術をして、戻す)

 

不妊手術で頭数管理をします。外猫のQOLが向上する一方、放浪やスプレーなどの迷惑行為が減り、市民にとって猫はかわいがる存在に変わっていきます。

フロリダ大学内のキャンパスでは、TNRと並行して安楽死(病気の猫)や譲渡を行い、11年かけて155頭を23頭に減らしました。中断すると増えるため、継続とモニターが重要です。

 

TNRは地域にいる頭数、猫にごはんを与えている住民(世帯)の割合とその猫の頭数を調査し、減らすために必要な不妊手術の割合を出します。

 

・A:住民の8.9%が平均2.6頭/世帯にごはん

=全体の71%を不妊手術

・B:住民の12%が平均3.6頭/世帯にごはん

=全体の94%を不妊手術

 

5)新しいTNR=THVR(精管結紮、子宮摘出)

 

通常のTNRはオスが精巣を摘出、メスが卵巣と子宮を全摘です。頭数制限の手段ですが、病気のリスクが減り、縄張りをめぐるケンカなどがなくなって寿命が伸びる一面もありました。

そこで、精管結紮と子宮摘出を行うTHVRが考えられました。ホルモンが残るのでケンカや感染症の危険は変わらず、寿命は伸びません。未不妊のオスは子猫を殺すので、子猫の生存率も下がります。

 

THVRとTNRとの生存率の違いを計算し、頭数制限計画の効果をシミュレーションしてみましょう。

 

・THVRは捕獲率35%で50%減効果

・TNRは捕獲率57%以上で25%減効果

 

どちらも効果はありますが、TNRは捕獲率をかなり上げなければ頭数制限の効果が出ません。THVR は捕獲率が低くても効果が出ます。

 

・THVRは捕獲率35〜37%で10年後減っていく

・TNRは捕獲率82%以上で10年後減っていく

 

TNRを行う場合、無計画や短期では効果が見込めないでしょう。長期に渡って続けられる予算や関係者の協力が欠かせません。飼い猫の飼育放棄や不妊手術も並行して行う必要があります。

 

6)非外科的不妊

 

薬を毎日飲ませる、あるいは注射を毎週打つことで不妊にさせる方法もありますが、定期的に処置を行うことが難しい野猫には現実的と言えません。

 

7)外猫の発生源を減らす

 

捨て猫や迷い猫が発生しないようにします。室内飼育を推奨し、飼い主教育を行うことが大切です。

 

01
 

■早期不妊手術

 

性成熟前に行う不妊手術を「早期不妊手術」と言います。猫は6〜16週齢、もしくはオスなら150g、メスなら200gで可能です。犬は5.5ヵ月齢になる前に行います。30年前から実施されており、安全性が確認されています。

早期不妊手術の危険を訴える論文が発表されていますが、データがずさんでエビデンスとしては通用しないものです。

 

■ディスカッション

 

参加者:THVRが非常によい方法だと思いました。サクラメントではどのように行っていますか。問題点も教えてください。

 

田中先生:行政のシェルターで行っています。3年しか経っていないので、データはまだとっているところです。問題というほどではありませんが、睾丸摘出に比べて精管結紮は時間がかかります。またTHVRは鳴き声やケンカの苦情の解決にはならないので、その地域の問題の解決を優先することも大切だと思います。

 

次回は、川崎市健康福祉局保健所生活衛生課動物愛護・水道衛生担当の平悟志先生の講義をご報告します。

トピックス

犬の寄生虫ケア

  • 犬のオールインワンのお薬について
  • ネクスガードについて
  • フロントラインについて
  • 犬の寄生虫について
  • ネクスガード フロントライン比較表
  • CMギャラリー

猫の寄生虫ケア

  • フロントラインについて
  • 猫の寄生虫について
  • 投薬日お知らせサービス

投薬お知らせサービス

ノミ・マダニ駆除薬、フィラリア症予防薬の定期投与を忘れないためのお知らせサービスです。

  • TVCM

    ネクスガードの広告ギャラリーをCheck!

  • おいしく食べる動画おいしく食べる動画

    ノミ・マダニ駆除薬ネクスガードをおいしく楽しく食べる犬の動画集です!

  • ノミダニのお薬比較チェック
  • マダニ寄生カルテ集

    マダニが寄生した犬・猫の様々な写真付きのカルテ集。
    愛犬・愛猫を守るために知っておきましょう。

  • 犬用デンタルガム(塩酸デルモピノール配合)オーラベット犬用デンタルガム(塩酸デルモピノール配合)オーラベット
  • 災害からペットを守るために、今、私たちができること 3.11を忘れない~災害からペットを守るために、今、私たちができること 3.11を忘れない~
  • お問い合わせ
  • ネコも動物病院プロジェクト
PAGETOP


PAGE TOP