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ブログ~幸せなペットを増やすために~

2018.04.25  11:00

第3回シェルター・メディシン・セミナー「より良い譲渡に向けて」 第1部 譲渡を促進する科学/田中亜紀先生

2017年11月11日(土)に、第3回シェルター・メディシン・セミナー「より良い譲渡に向けて」が日本獣医生命科学大学で開催されました。

カリフォルニア大学ディビス校獣医学部疫学研究員の田中亜紀先生と、川崎市健康福祉局保健所生活衛生課動物愛護・水道衛生担当の平悟志先生の講義を3部に分けてご報告します。

 

1部 シェルター・メディシン —譲渡を促進する科学—

[カリフォルニア大学ディビス校獣医学部疫学研究員 田中亜紀先生]

 

今回のテーマは「譲渡を科学する」ということです。譲渡の数を決めるのは何でしょうか? それは数字、統計、疫学です。これらのデータを解析して客観的な判断でシェルターの収容能力を考え、譲渡を進める工夫をしましょう。


 

■シェルターの役割

 

シェルター・メディシンは、多くの分野が関わる動物の総合医療であり、地域に根ざした地域医療であると言えます。

 

1)地域の安全を守る

 

シェルターの役割は動物を助けることではありますが、まず考えなければいけないのは地域の安全を守ることです。

 

・適材適所の安全な譲渡:人と動物にとって良い譲渡を行う

・公衆衛生:病気や危険のある動物を地域に返さない

・動物虐待:虐げられている地域の動物を保護する

・災害時:飼い主が見つからない動物を保護する

 

2)動物福祉を守る

 

動物福祉も重要です。収容動物を個体ではなく「群」と考えて大きな視野で判断し、施設の目標(安楽死を減らすなど)達成に向けて管理していきます。

 

・群管理:体調や行動を管理して健康な動物を増やす

・シェルターの収容能力:施設の適切な収納頭数を把握し、過密を防ぐ

 

■シェルターからの譲渡の状況

 

アメリカではシェルター・メディシンの分野が進んでいます。最も多いペットの死亡原因が、飼育放棄によってシェルターで処分されてしまうことだったからです。

アメリカの年間犬猫処分数は12年前が300万頭、現在が100万頭と言われています。シェルターからの譲渡はまだ2割程度ですが、今後促進するでしょう。

 

■施設の収容可能頭数

 

施設が過密になると感染症の危険が高まります。標準的なケアができる収容可能頭数を把握しましょう。

 

1)飼育放棄を減らす

 

将来的にシェルターに入る動物を減らすため、譲渡前に不妊手術を行います。飼い方指導や低所得者のサポートなどの対応策も欠かせません。

 

動物の福祉は「5つの自由」ですが、シェルターにおいては「6つの自由」になります。6つ目は安楽死です。過密になれば動物がストレスや疾患にさらされ、シェルターが多頭飼育崩壊状態になる恐れがあるからです。安楽死は地域や動物を守る手段でもあります。

 

2)引き取り予約制

 

飼い主からの動物の引き取りを予約制にするのも対応策です。待ち時間(平均5〜7日間)に、飼い主には不妊手術やフォスター探しをしてもらいます。問題行動が理由ならトレーナーを紹介することもあります。

 

予約制導入後、実際に引き取ったのは62%、飼育を続けることにしたのが8%、フォスターを見つけたのが12%で、過密を防ぐ効果がありました。

 

3)基本的な収容能力計算

 

十分なケアと環境を提供できるように収容可能頭数を把握しましょう。収容能力の計算はおおよそのデータが揃っていれば計算可能です。

 

・月間収容数(例:保護、引き取り)

・結末(例:譲渡、安楽死、フォスター)

・推定1日引き取り頭数

・動物種別

・年齢別(例:20週齢未満と成体)

 

上記のデータを下記の4つの収容能力計算に当てはめて算出していきます。

 

・譲渡前収容能力

月間1日平均引き取り数×滞在期間

・譲渡に基づく収容能力

目標とする平均滞在日数×月間1日平均譲渡数

・日々のケアに必要なスタッフに基づく収容能力

日々のケアに必要なスタッフの時間=1頭あたりの時間(分)×1日平均頭数÷60(分)

日々のケアに必要なスタッフの収容能力=日々のケアのスタッフの時間(分)÷1頭あたりに必要な時間(分)

・シェルター業務に必要なスタッフに基づく収容能力

収容時に必要な1日平均スタッフの時間=収容時にかかる時間(分)÷60×月間1日平均収容頭数

 

収容能力は物理的な空間だけでなく、動物を安全で健康的に収容できる環境づくりも含まれます。時間を有効に使えるように判断する一つの手段にしましょう。

 


 

■滞在時間を短くして譲渡を促進する工夫

 

シェルターの滞在時間を減らすために、猫の評価プロセスをはじめ様々な工夫を重ねています。

 

1)猫評価のプロセス

 

猫の飼い主や一般市民、シェルター関係者のアンケートをもとに猫の評価プロセスを作成しました。基本的に10ポイントあれば譲渡可能と判断します。

 

・行動:社交的であるほどプラス、最大6ポイント

・年齢:若いほどプラス、最大6ポイント

・健康:健康的であるほどプラス、最大5ポイント

・ボーナスポイント:純血種、珍しい色や柄、マイナスな特徴(三本足や片耳)はプラス、最大5ポイント

 

導入後に統計をとったところ、譲渡率が64%から77%、安楽死率が35%から29%、滞在時間が31.6日から13.7日に改善しました。

 

2)さまざまな工夫

 

猫はライオンカットにしたり、犬はTシャツを着せたりして、目を引くような個性を持たせます。名前をつけてかわいい写真を載せ、プロフィールの最初の文章を印象的にすることも重要です。譲渡会などの周知活動をする際には、家庭にペットを迎える決定権を握る人(多くはお母さん)の目に触れるようにしましょう。

 

このような工夫によりシェルターを利用した人の満足度が上がると同時に、シェルターの印象も明るくなるので、スタッフの満足度も上がってきました。みんながハッピーなら動物もハッピーになれます。

 

 

最後に会場に来られた参加者の皆さんからの質問に講師の先生が答えるディスカッションも行われました。一部をご紹介します。

 

■ディスカッション

 

参加者:自治体の職員です。センターにいる猫について相談です。糖尿病とシャイな性格が理由で、1年以上も譲渡が決まりません。譲渡対象になった動物は安楽死をしないという内規があるのですが、判断に迷っています。

 

田中先生:アメリカでも譲渡対象になると安楽死の判断はなかなかできません。スペースやスタッフに余裕あれば世話を続けてもいいでしょう。予後不良であれば、選択肢の一つとして安楽死も考えるべきだと思います。

 


次回は、田中亜紀先生による第2部「頭数管理の科学的知見」をご報告します。

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