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ブログ~幸せなペットを増やすために~

2015.09.16  9:11

日本の動物福祉最前線インタビュー 第5回 田中 亜紀先生

田中 亜紀先生
 

取材対象者:獣医師、University of California, Davis研究員/日本獣医生命科学大学 研究員

田中 亜紀先生

今回お話を伺うのは、獣医師で現在、カリフォルニア大学デイビス校でシェルター・メディシンを研究中の田中亜紀先生です。研究の傍ら、日本各地の自治体の職員向けにシェルター・メディシンやシェルター・ワークの指導も行っている田中先生。シェルター・メディシンとはいったいどのような研究分野なのでしょうか?また田中先生の指導は各自治体でどのように活かされているのでしょうか?併せて日本の動物福祉の現状についても貴重なご意見をいただきました。

 

SPP:まずは、獣医師を志した理由を教えてください。

田中亜紀さん(以下、田中):私は親の仕事の都合で中学生までイギリスで育ちました。今もそうですが、当時からヨーロッパは動物がとても身近な存在。もちろん私も動物が大好きでしたので、ある時、近所のおばさんがRSPCA(王立動物虐待防止協会)のシェルター見学に連れて行ってくれたのです。映画「三本足のアロー」などを観て、幼いながらも日本の保健所の状況を知っていましたので、RSPCAのシェルターには本当に驚きました。何らかの理由で捨てられてしまっても、また新しい飼い主に出会い、幸せになれるシステムが整っていることに感激しました。イギリスと同じように日本にも処分だけでなく捨てられても第二のチャンスのシステムの構築・運営はできないのだろうかと興味を持ち、最終的に獣医師の道を志すようになりました。

 

SPP:シェルター・メディシンとはどのような研究分野なのですか?

田中:シェルター・メディシンとは、一言で言うとシェルターに関わる獣医療のこと。シェルター内で暮らす動物たちの心身の健康を守り、譲渡されやすい状態にする、またそもそもシェルターに来させないようにする獣医療のことです。シェルターの役割は地域の余剰動物(飼い主のいない犬・猫など)を保護し、健康状態を維持しながら適材適所の譲渡で再び地域に戻す(地域の希望者に譲渡する)ことですから、私自身は、シェルター・メディシンのことを地域医療の1つだと考えています。シェルター・メディシンはまだ新しい研究分野で、デイビス校でも私が2002年に初めて留学した頃に、やっと専門プログラムが設立されたばかりでした。

アメリカでこの研究が誕生した背景には、ある事情があります。それはアメリカではシェルターで安楽死させられる動物がものすごく多いということ。一説にはペットの死因第1位がシェルター内での安楽死だと言われているほどです。アメリカでは安楽死も非常に多く行われているので、「いずれ安楽死されるのだから・・・」ということで、もともとはシェルター内での獣医療はあまり行われてこなかったようです。しかし安楽死させる・させないに関わらず、生きている限り福祉は守り健康管理をするべきだという発想から生まれたのが、シェルター・メディシンです。シェルター・メディシンを充実させることによってシェルター内の動物の健康状態が向上すると、譲渡できる健康な動物が増えるわけですから、結果として安楽死を減らすことができます。また、シェルターに来させない研究も盛んに行われています。

 

SPP:動物愛護先進国といわれる欧米でも殺処分は行われているのですね?

田中:アメリカはとても多いですね。家庭でも飼い犬が高齢や重い病気あるいは引っ越しという理由で安楽死を選ぶケースが珍しくありません。飼い方についても個人差はありますが、概ね日本人よりも雑というか、ペットの飼い主層が日本よりも幅が広いです。例えば、サイズの合わない首輪をつけっぱなしにしておいたために首輪が肉に食い込んでとれなくなる犬はシェルターではかなり頻繁に見受けます。日本は日本人が思っているほど「動物愛護後進国」では決してありません。

余談ですが、日本では「動物愛護先進国」と思われているドイツでも、殺処分は行われています。シェルターでの殺処分はありませんが、シェルター以外の場所では、かなりの数の殺処分が行われています。狩猟の盛んな国だけあって、自分の敷地に入ってきた野良犬や迷い犬を銃殺することもよくありますし…。日本人は真面目で繊細ですから「殺処分」という言葉に非常に敏感。殺処分=悪いことと捉える傾向が強く、「どんな状態でもいいから、とにかく生かしてあげたい」という気持ちで保護活動に取り組む方が多いですよね。しかし、動物が「どんな状態でどんな環境で生きているのか」を重視することも考えなければならないと思います。命を大事にする日本人の美徳で、「死ななければ良い」ということだけに囚われずに、命の尊厳という動物福祉を基本とした保護活動が広がっていくことを願っていますし、シェルター・メディシンがその一助となれば良いと思っております。

 

SPP:日本の自治体職員を対象に行っているシェルター・ワークの指導では、どのような成果が上がっていますか?

田中:私がアドバイスさせていただいている自治体はどこも本当に真面目で非常に熱心です。その中で新潟県ではシェルター・メディシンの考え方を6年ほど前から実行して下さり、シェルター・メディシンに基づく飼養管理の改善で保護犬猫の殺処分が減り、譲渡数が増えるという嬉しい成果が上がっています。私のアドバイスは、とにかく決断を早くすること。特に譲渡をするか否かについては、迅速に決断するように徹底しました。また、せっかく動物を引き取ろうと思ってセンターまで足を運んでくださった方に対して譲渡までのハードルをあまりにも高くしてしまうと譲渡希望の方の出鼻をくじいてしまい、譲渡のチャンスを逃してしまうこともあります。「飼い主として相応しい人かどうかを見極めるために最初にしっかり審査すべきだ」ということも大事ですが、当然最低限の必須条件(ペット可不動産、不妊手術をする、猫は室内飼い/犬であれば毎日散歩するなど)がそろっていれば心身共に元気なご高齢の方でも後方支援がある場合などには門戸を広げても良い

と思います。

もう1つの大きな変化は、それまで月に2回だった譲渡会を毎日開催するようにしたことです。土日を含む毎日、譲渡会を開催することによって、それまで仕事などでなかなか譲渡会に来ることができなかった方にも犬たちと出会うチャンスを提供できるようになり、譲渡数の拡大につなげることができました。もちろん、私の専門であるシェルター・メディシンの重要性についても職員のみなさんに共有し、目の前の動物が「どのような状態で生きているのか」を適切に見極めることの大切さをお伝えしています。

 

SPP:最後に、日本の動物愛護をより成熟させるためのアドバイスをお願いします。

田中:先ほども申し上げましたが、日本は決して動物愛護の後進国ではありません。動物を大切に飼う方が多いですし、殺処分数も他の先進国に比べて極端に多くはないのです。ただ、保護動物に関していうと、行政職員や保護団体の方々など、保護動物を管理する側の人たちが科学的・合理的に考える能力を取り入れる余地はあると思います。そうすれば保護団体が「かわいそう」という感情で自分のキャパシティを超えて動物を引き取ったり、人間と共存できない気質の犬を引き取ってしまったりすることも防ぐことができます。行政も従来の方法にとらわれずシェルター・メディシンに基づく群管理を適所に行えば、譲渡数を増やし殺処分数を減らすことができるのではないかと考えます。外国のやりかたをそのままコピーする必要はありません。日本のよいところは大切にしつつ、外国のよいところも柔軟に取り入れて改善を続けて行けば、より人と動物が共存しやすい社会へと1歩ずつでも近づけるのではないでしょうか。

 

SPP:田中先生、ありがとうございました!

 

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