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2015.07.22  9:25

日本の動物福祉 最前線 インタビュー 第3回 前編 山口千津子先生

山口先生

公益財団法人日本動物福祉協会 特別顧問 山口千津子先生 (前編)


SPP:山口先生は日本で獣医師資格を取得した後、渡英し、英国王立動物虐待防止協会(RSCPA)でインスペクター(調査員)の資格を取得されました。日英両国で動物に関する教育を受けられたわけですが、どのような違いを感じましたか?

山口千津子先生(以下、山口):何といっても動物愛護に関する法整備の違いです。イギリスでは早くも1822年に動物愛護に関する世界初の法律「家畜虐待・不適切飼育防止法」が制定されるなど、動物虐待防止に関しての法整備が日本よりもかなり先行しています。このため動物虐待の問題を単なる「かわいそう!」という感情論ではなく、合法か否かという合理的かつ明確な基準のもとで扱うことができるため、虐待防止を的確に速やかに行うことができるのです。私が学んだRSCPAは1824年の設立で、ここではインスペクター養成コースの授業時間の半分以上が、法律に関する講義に費やされます。というのも、私たちインスペクターの役割は、動物福祉に関する法律に従って、虐待の現場に介入し、改善に導くことだからです。よく誤解されるのですが、私たちが目指しているのは、動物虐待をした人を罰することもですが、動物虐待を未然に防ぐこと、あるいは虐待から動物を救うことを重要視しています。法律はこの目的達成のために欠かせないものだと思います。イギリスでは2006年の法改正で虐待が行われているという証拠がまだ手に入っていない場合でも、つまり虐待が行われているのではないかという疑惑があるだけでも、現場に介入できることになり、さらに虐待を発見・改善しやすい環境が整いました。このように厳しい法律が整備されているからこそ、イギリス人は一般的に動物愛護に関する意識がとても高いですね。

 

SPP:RSPCAはイギリスの一般国民にとって身近な存在なのですか?

山口:イギリス人なら知らないひとはいないというほど身近な存在です。動物虐待に気づいたら、すぐにRSCPAに通報が入ります。その通報数だけを見て「イギリスの方が日本より虐待が多いのではないか」という人がいますが、これは間違い。イギリス人は動物愛護への意識が高いので、日本人なら見過ごすようなことにも気づき、こまめに通報をします。だから表面に出てくる件数が多いのです。日本は法整備も進んでいないし、RSCPAのような存在もないので、表に出てきにくいだけであって、実際の虐待数が少ないわけでは決してありません。マスコミも殺傷のような目で見てわかりやすい虐待は大々的に取り上げますが、ネグレクト(餌をやらない、散歩に行かない、炎天下に放置等)の映像になりにくい虐待は取り上げられることが少ないので、日本では虐待の実態が広く一般に知られる機会も限られています。

 

SPP:山口先生はイギリスから帰国後、(公財)日本動物福祉協会で30年もの間、日本の動物愛護・動物福祉の向上に尽力してこられました。長い活動の中で最も印象に残っている出来事はなんですか?

山口:法整備の必要性について痛感するきっかけになった、1980年代に川崎市で起きた猫の脚切事件です。川崎市で近所の猫に畑を荒らされたことに腹を立てたある住民が、畑にトラバサミを仕掛けて猫を捕え、植木用のハサミで脚を1本切断してしまったのです。猫は血を流しながらもなんとか自分の家に戻り、飼い主さんが急いで動物病院に連れていきましたが、出血多量で結局安楽死の道を選ばざるを得ませんでした。当時はまだ昭和48年に制定された旧動物の保護及び管理に関する法律(以下動物保護法)が適用されていて、動物虐待をしても「3万円以下の罰金」しか科されない時代。加害者本人も「畑を荒らす猫を退治して何が悪いんだ」と開き直って、週刊誌に堂々と写真入りで登場していました。器物損壊罪で訴えた方が罰を重くできるという意見もありましたが、私たちは動物保護法改正の必要性を訴える意味で、あえて動物保護法違反で告発しました。

この裁判はマスコミにも注目されてテレビのワイドショー等で取り上げられ、各地から様々な意見が寄せられたのですが、困ったのは加害者への嫌がらせをする人が出てきたことです。結果として加害者には5万円の罰金刑が科されたのですが、加害者の自宅の塀に赤いペンキが撒かれる事件が起きました。こんなことをしてしまうと「やはり動物愛護関係の人は、非常識だ」と思われてしまい、何もいいことはありません。動物虐待の罪を犯した人は「感情」ではなく、法律で裁かれるべきなのだ、そのための法律(動物保護法)があることを広く知らしめねばならないことを痛感しました。

 

SPP:どうすれば、動物愛護法の存在をより多くの人に知ってもらうことができるのでしょうか?

山口:日本の動物の愛護及び管理に関する法律(以下動物愛護管理法)では「虐待」の定義があいまいなため、ある人が虐待だと思う行為でも他の人にとってみればそうではない…という食い違いが起きてしまうのが問題ですよね。まずは、裁判で虐待だと認められた例をみんなで共有し、それに類似した事件には怖気づかずに、どんどん法律を活用してみることです。法律は国民のためのものですから、国民が活用して育てていかねばなりません。

また、これは非常に珍しいケースですが、虐待ではなく環境汚染で犬を多頭飼育している飼い主さんが訴えられ、裁判所から飼育可能頭数の制限を命じられた事件がありました。都内のある木造アパートの2階で、そのアパートの大家さんが20数頭もの犬を飼い、糞尿もそこでさせていたため、階下の住民のみなさんが、悪臭がして不潔だということで訴えたんですね。ところが、店子ではなくて大家さんなので追い出すこともできませんよね。それで警察や保健所も手をこまねいているうちに、なんと糞尿で床が腐って抜けてしまい、階下の店舗に床ごと犬たちが落下するという事態が発生。やっと保健所や警察が動いて、犬たちはひとまず都の施設に保護された後、私たちも含め複数の保護団体が分担して新しい飼い主探しをしました。

そしてその後の裁判の判決で裁判長が、飼い主に対して「2頭までしか犬を飼ってはいけない」という裁判所命令を下したのです。私の知る限り、多頭飼いをしている人に飼育頭数の制限が命じられたのは、これが最初で最後の判例だと思います。

 

SPP:その後、日本でも動物愛護管理法の改正等があり、動物虐待が罪になることを知る人も増えてきたように思われます。日本の動物虐待を取り巻く環境は少しずつ向上してきているのでしょうか?山口先生の実感をお聞かせください。

山口:一般の人の意識が向上したのは確かだと思います。動物虐待が行われていること、そしてそれが法律で禁じられていることを知る人も以前に比べると増えていると思います。ただ、日本人は動物が「生きているか、死んでいるか」だけを問題にしがちです。動物が死んで初めて、それが「虐待事件」として扱われるケースがまだまだ多いような気がします。もちろん、生きていることは非常に重要なことですが、どんな状態で生きているのか、すなわち生きる「質」もすごく重要なんです。実際、欧米の動物愛護の現場では、生活の質が非常に重視されています。でも、日本人はそこをとても軽視しがち。餌をもらえずに飢餓状態でガリガリになっていても、糞尿にまみれて狭い室内で暮らしていても、「生きてさえいればよし」としてしまう傾向がまだまだ強いんですね。だから日本ではネグレクト=虐待だと認識されにくいのです。

ともあれ前回の動物愛護管理法改正では生活環境や健康管理に関することがやっと条文に盛り込まれました。今後、動物たちを取り巻く環境がもっともっと改善することを願っています。

 

後半に続きます。

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