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ブログ~幸せなペットを増やすために~

2016.11.09  9:58

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授)後編 その4

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打越綾子先生と愛猫ふくた君

 

4回に渡りご紹介してきた打越綾子先生へのインタビュー記事もこちらが最終となります。すでにアップした3回分も合わせて是非ご一読ください!

 

SPP:犬や猫の殺処分をゼロにしたいと活動する人や団体が増えていますが、このことについてどう感じていますか?

 

打越:その情熱を持つのは動物を愛する優しい気持ちがあるからこそであり、その動きが、自治体の内部で努力してきた職員を時に支えているのも間違いありません。しかし、これまで殺処分を減らすために努力してきた先進的な自治体ほど、例えばかみ癖がある、重篤な病気を持っている等の飼い方の難しい動物以外は、既になるべく殺処分せずに新しい飼い主を見つけてきているわけです。そこをさらにゼロにすべきといわれれば、これまで地道に努力してきた自治体の職員であればあるほど、板挟みになってしまうという問題があります。

つまり、殺処分される動物をゼロにしたいという気持ちは、絶対的に動物を愛しているからこその理想のはずなのに、現実に当てはめるとちぐはぐになってしまう、そこが難しいと感じます。

 

現実を見据えると、人間に対する恐怖心や警戒心から攻撃性がある動物、飼育するのに大変な治療が必要である動物を飼って幸せにすることができる、それだけの飼育技術を持っている人は決して多くはありません。こうした飼育が非常に難しい動物が保健所に運び込まれた場合、それを飼育し続ける、その新しい飼い主を探すということは、行政の保健所や愛護センター、あるいはボランティア活動家には大変な経済的・肉体的・精神的な負担を掛けてしまいます。

 

その結果、多頭飼育者や虐待など、扱いにくい事例への対応が後回しになってしまいかねません。

しかも、そこまで手間を掛けて命を救っても、ごく一部の情熱的な保護ボランティアによる手厚いケアを除けば、一般家庭での飼育が難しい動物は、ケージ飼育、檻の中での飼育しかしてやれないのです。なので、殺処分ゼロを主張することで、必ず板挟みになる自治体職員やボランティア団体がいることを思うと、殺処分ゼロという絶対的に正しいはずの理想が、現実においては、動物のために尽力している人も、動物をも苦しめる可能性があるということを直視すべきだと思います。

 

もう一つ、1頭の犬や猫の命を救うことは、おびただしい数の他の動物の命を利用しているという現実にも、多くの人に気がついてほしいと思います。保健所で保護された犬や猫に投与する薬の開発、各種感染症や病気を調べる検査手法の開発、さらにワクチンの開発のために、私たち人間は、多数の実験動物を利用しているのです。だからこそ、私たちは安心して愛犬や愛猫に薬を投与できるのですね。

また、犬や猫が食べるペットフードは、畜産動物が材料になっています。人間が食べた残余の部分を利用しているにせよ、畜産動物を利用にしていることには違いがありません。

そもそも、ペットを通じてという以前に、人間は、多数の動物の命を利用して生きています。私たちは、そのことへの謙虚さと感謝の気持ちを持たねばならないと思います。

 

SPP:打越先生は、5頭の保護猫の飼い主さんであると同時に、保護した動物の新しい飼い主探しも経験したことがあるそうですね

 

打越:この夏、遺棄された猫を、しかも2匹同時に保護しました。すでに7~8ヶ月、見た目は成猫です。

子猫が多数募集されている時期に、新しい飼い主が見つかるかどうか、周囲の関係者は私のことを本当に心配してくれました。でも、性格の良い猫の姿を見て、なんとしても新しい飼い主を見つけてやりたいと思いました。

おかげさまで、新しい飼い主になろうかと何件かお声が掛かりました。そうなると今度は、どの家庭にどのように譲渡すべきか何日も掛けて悩み、周囲に相談する状況になりました。

つまり、1頭ずつの命や生活の質に、私は、気が付けば必死にこだわっていたのです。この子が可愛い、この子を守ってあげたいという気持ちを一度持ったら、もう二度と見捨てられなくなる。やはり目の前の命にこだわってしまうのが人の情というものだと思います。

殺処分ゼロを主張する人々の人格については、やはり優しい愛情に溢れるものだと思います。そのことは、やはり真正面から認めたいと思います。

 

話を戻しますと、殺処分ゼロという目標は、言うは易く、実現は難しく、そして、それを現実に押しつければ、人も動物も苦しめるスローガンになりかねないということへの自覚が必要だと思います。そうではなくて、犬や猫の不必要な殺処分や苦しみを減らす。この「減らす」という地道な動き、つまり自治体の現場職員や地道なボランティアの努力こそが、注目されるべきだと思います。

 

SPP:動物愛護の理想、動物福祉の向上を実現するために、私たちが出来ることは何でしょうか?

 

打越:立場によって違うと思います。

一般の飼い主の場合は、優れた飼い主になることに尽きると思います。動物のためにも、社会を作る構成員としても、大切なことではないでしょうか。もともと動物嫌いな人は、動物を飼っている人のマナーが悪いために、動物が嫌いになるわけです。ならば、動物を好きな人こそ、社会のマナーを守り、他人に迷惑を掛けない優れた飼い主にならねばなりません。

 

保護活動のボランティアの場合は、動物に対して情熱を注ぐだけでなく、動物に関わる人々の多様な立場や感情にも配慮することでしょうか。

上述の通り、今年の夏には、遺棄された猫の新しい飼い主募集を行いました。それを通じて、警察署、保健所、動物病院、自分の行動を分析しながら、「行政と民間人の差は、決して熱意の差ではなく、優先してやるべきことの差、そして、できること・できないことの差である」と実感しました。

犬や猫の保護に全力を尽くしているボランティアさんは、行政よりもボランティアが頑張っていると、どうしても思いがちです。とはいえ、批判がむけられがちな自治体の保健所の職員には、たくさんの「他の仕事」があります。

また、彼らは休日には動物愛護とは異なる分野で、地域のボランティア活動に情熱を注いでいることが多いです。元々公共精神があるから公務員を目指した人々ですから、実は地域のボランティア活動にも熱心なのです。それが動物をターゲットにしていなくても、町内会活動、少年スポーツ監督、荒廃農地対策、地域の伝統芸能の裏方活動などなど、皆さん仕事でクタクタなのに、休日や夜間は、ボランティア活動をやっています。そういう意味では、どちらが頑張っているかのレベルの差の問題ではなく、立場や活動の種類の違いがあるだけのことなのです。

ですので、誰が一番頑張っているかといった善悪の判断を単純につけず、動物に関わる全ての人の立場や意見も大切に受け止める冷静な姿勢を持って、長期的な信頼関係を維持することを最優先に動物の問題を議論していくべきだと思います。

 

社会的に影響力のある人の場合は、冷静な判断力や正しい情報を持つことでしょうか。そして、自身が派手なパフォーマンスや発言をするのではなく、地道な活動の当事者、例えば、自治体の行政職員及びボランティアを、精神的に、そして金銭的に支えるべきと思います。

自分の主張や努力を他人に認めてもらいたいというのは人間の業ですが、元々社会的影響力のある人は、不特定多数の人にいきなり発信するのではなく、むしろ地道に努力する人を黙って裏方から支援していただきたいと思います。地道な人々を自分は目立たぬように支え続ける。それを数年続ければ、「あの人は自分が目立つよりも、動物のために努力する人々のために力を尽くしている」という評判が出てきます。その時にこそ、揺るぎない人望と評価を得て、本当のオピニオンリーダーになっていけるのではないでしょうか。

 

SPP:動物に関わる皆さんに是非「日本の動物政策」を読んでいただきたいと思います。お忙しい中、本当にありがとうございました!

 

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長野県動物愛護センターの飼い主様啓発ポスター

 

3
長野県ハローアニマルを見学した打越綾子先生と学生の皆様

 

 

打越綾子著『日本の動物政策』(ナカニシヤ出版)

http://www.nakanishiya.co.jp/book/b222109.html

 

 

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授)その1

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授)その2

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授)その3

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授)その4

 

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