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ブログ~幸せなペットを増やすために~

2016.10.12  9:04

日本の動物福祉最前線インタビュー 打越綾子先生(成城大学法学部教授) その2

打越先生2回目

SPP:環境省動物愛護部会の小委員会委員として前回の法改正にも関っておられましたが、動物愛護法のあるべき姿について、どうお考えですか?


打越:自著「日本の動物政策」の中の第1章の「おわりに」に書いたことに全てを込めました。




第一に、犬や猫をめぐる課題を解決するために、全国一律の仕組みを考えることよりも、地域ごとの多様性を徹底的に分析することが必要ではなかろうか。都市部であるか農村部であるか、その地域の人口や気候、政治行政の構造や関係者の信頼関係はどうであるか、そうした条件によって課題も対応策も異なる。他の土地で成功した事例や全国レベルの先進事例を、自らの地域にそのまま導入しても成果をあげられるとは限らない。自らの地域の特徴と照合しながら、プロセスも含めて戦略を練ることが必要である。これは、行政担当者に限らず、全国的な動物愛護管理政策に関わる専門家集団や関係団体にも求められる覚悟と言えよう。そうした地域の個性を検討する作業を通じて、関係者の情報共有も進んでいくのではないだろうか。

第二に、国主導のトップダウン的発想ではなく、地域からのボトムアップ、地方分権時代の行政運営が本格化しつつあることを重視すべきである。例えば、1999年及び2005年の法改正時に環境省主導で制度化された動物愛護推進員と動物愛護管理推進計画に関わる制度が、なかなか成果をあげられていないと言われている。事業を体系化する基本計画については、多様な関係者で十分に議論した帰結としての自由度を上げるべき(義務化ではなく推奨に留めて、他方で政令市や中核市でも策定を検討するなど)であるし、愛護推進員については、その役割を尊重するとともに、各自治体で個別に展開しているボランティア・サポーターとの実質的な連携も尊重すべきであろう。現場に近いボランティア・自治会の合意形成→市町村の努力→都道府県の判断→国の方針というベクトルに発想を変えていく必要がある。

この第一、第二の示唆をさらに進めれば、第三に、法律改正や制度設計を議論するだけでなく、法律の運用や協働・合意形成による実施プロセスの重要性に、関係者は気がつくべきである。許しがたい事件が起きたり、不心得の業者や人物がいた場合に、政治家や愛護団体などの関係者は、それを押さえ込むための制度改正や罰則強化、条例による規制に言及しがちである。しかし、一部の不心得者のために、善良な飼い主までが拘束される一律の禁止制度や許可制度が導入されれば、それはまた現場での混乱や軋轢、神経質な業務運営を招くことになる。これから先求められていくのは、法制度をどうするか以上に、組織や予算、人員の配置、事業の展開、地域関係者での協働・合意形成などを総合的に考慮する政策的な検討ではないだろうか。

であるならば、第四に、犬や猫の置かれた状況を改善するために、短期的な成果を求める圧力活動よりも、長期的な方向性を十分に話し合い、関係者の地道な協力・信頼関係を構築することが求められよう。昨今、各方面で盛り上がりを見せている殺処分ゼロキャンペーンなどを見ると、関係者の情熱や誠意は既に十分に国民全体に伝わってきている 。収容施設で明日処分される犬や猫の眼差しを直視すれば、悲しみと悔しさが込み上げるのは想像に難くない。ただし、現在の日本の多くの自治体において、ゼロ運動が動物愛護の気風を導く追い風になることもあれば、自治体での収容動物へのケアが追いつかない(結果として行政施設における多頭飼育状態になりかねない)実情についても、慎重に見極める必要があろう 。つまり、短期的なプレッシャーが、長い目で見て不幸な犬や猫を減らすために本当に効果的なのか、今こそ冷静に考える必要がある。これまで論じてきたとおり、詳細な統計分析によれば、「現場の努力論」「精神論」だけでは限界があることが明らかになった。妥協という言葉は、しばしば情熱家からは敗北の言葉とされるが、そこを「妥当な協力体制」であると読み替えて、関係者が互いの立場への理解を示し、強みと弱みを補い合う関係を構築すべきと思う。

そして、第五に、これだけ多数の関係者の合意形成や連携が必要になってきたからには、今までの動物愛護管理行政の専門知や思考回路のあり方も大きく変えていかねばならないのではなかろうか。従来、この分野においては獣医師が有する専門知識が中核的な意味を持ってきた。自治体においては獣医師職員の人事異動の範囲が専門特化しており、また現場においては動物愛護活動に関わる人々の直線的な動物への眼差しもあり、獣医学的な専門知識が問題解決のための重要な鍵となってきた。さらに、獣医師同士の相互参照の発展形として、動物愛護の先進国たる欧米諸国の適正飼養やシェルター運営のノウハウを学ぶべき目標とする雰囲気があった。

しかし、文化も歴史も経済社会も法制度も抜本的に異なる国々の動物愛護管理政策の手法は、日本に簡単に導入できるとは限らない。むしろ、日本国内の多様な政策分野の中にも、政治行政の構造、社会経済の状況、国と地方の関係、そうした実情に照らして有用なエッセンスがあるかもしれない。例えば住宅政策、都市計画政策、防犯政策、教育政策、そうした伝統と蓄積のある他の政策分野に目を向ければ、事業の底上げのために、全く異なる分野の専門家(ファシリテーターや広告事業、防犯や安全のためのまちづくり、住宅設計やライフスタイルに関する専門家など)を積極的に活用するヒントが見えてくるかもしれない。また、他の政策分野のことを学ぶことで、行政組織内の関係部局との連携の道が開けるかもしれない。さらに言えば、動物とは縁遠い分野の専門家や行政職員の中にも、日常的に自宅で犬や猫を愛する人々がいれば、新たな協力のルートができるかもしれないのである。
1999年の動物愛護管理法の大改正時から、愛護の気風を高め、適正飼養の推進を粘り強く進めてきた人々の努力が第一ステージであったならば、今後の課題としては、政策の質を深めるために視野を広げていくことが必要になるのではないか。「動物愛護管理政策は、人間同士の問題が大きく、動物だけ見ていても解決できない」という関係者の主張が真のものであるならば、時には直前の動物愛護管理政策から視野を広げ、多様な政策分野における知識やノウハウを吸収していくべきであろう。その先にこそ、多様な価値観を反映しながら人と動物の優れた関係を模索する第三ステージが待っていると考える。

飼い主のいない猫問題や虐待・多頭飼育問題、行政側の組織編成の課題や人員不足など、動物愛護管理政策の個々の課題については、既に述べた通りである。これらの課題を乗り越えていくために、今後は、地域ごとの多様性の分析、地方からのボトムアップ的発想、制度論ではなく運用論、短期的成果より長期的信頼関係、異なる政策分野からの貪欲な情報収集、こうしたエッセンスを関係者に少しずつでも意識していただければ幸いである。立場を超えた多様な人々の協働と合意形成が各地で実っていくことを切に期待したい。

打越綾子著『日本の動物政策』ナカニシヤ出版より




後編では次期動物愛護管理法の法改正について詳しく伺っていますので、お楽しみに!

 

 

 

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